非抜歯矯正(抜かない矯正)とは

矯正治療は、正しい位置に歯を移動させることで歯並びを整えます。 歯並びが悪いのは、歯を並べる顎のスペースが不足していることが主な原因ですから、きれいな歯並びにするためには何らかの方法でスペースを作らなくてはなりません。 例えば4人掛けのイスに5人の人間は座ることができません。そうなると5人がけのイスを用意する必要があります。 歯列の幅を広げることで、4人掛けのイスから5人掛けのイスにしていきます。

通常の矯正は、第一小臼歯を上下左右1本ずつ(計4本)抜いて、その空いたスペースを利用して歯を並べる方法が一般的です。
しかし、健康な歯を抜きたくないという思いから、非抜歯矯正を希望される方は多くいます。

残念ながらすべての方が非抜歯で矯正を行えるわけではありません。歯の生え方や骨格はそれぞれに異なり、患者さんの症状によっては、非抜歯には適さず、抜歯をしてスペースを設けることで最良の結果が得られるケースが多くあります。矯正は歯をただ一列に並べればよいというわけではなく、かみ合わせや顔貌(顔立ち)を良い状態にすることが必要だからです。

しかし、歯を抜かなくても治療可能な症例であれば、もちろんそれに越したことはありません。 抜歯が必要か、抜歯せずに治療できるか、個々の症例については、カウンセリングの際などお気軽にご相談ください。

急速拡大装置による非抜歯治療法

歯列を側方へ拡大する
歯列を側方へ拡大する

歯列自体を外側に拡大することでスペースを作る方法です。
拡大できる幅には限界があり、どんな症例でも拡大で対応できるわけではありません。 顎の成長期である子供や、歯列の幅が狭い場合、歯が内側に傾いている場合などに適した方法です。 無理に多量に拡大すると後戻りが起こったり、口元が突出して審美的に悪くなる場合がありますので、まずはご相談ください。

奥歯を後方へ移動する
奥歯を後方へ移動する

一番奥の歯をさらに後方へ移動することで、スペースを作る方法です。
奥へ移動できる幅には個人差がありますから、すべての症例が対応できるわけではありません。 また、日本人は顎の奥行が浅いので、移動できる幅も少ない傾向にあるようです。